Quantcast
Channel: C#タグが付けられた新着記事 - Qiita
Viewing all articles
Browse latest Browse all 9749

マルチマルチ警告アドイン

$
0
0
1 始めに 1.1 何をするものなのか  マルチマルチ警告アドインは、Windows環境のWordに組み込まれて、Word文書に記載された請求の範囲に、マルチマルチクレームが記載されていることを警告するものです。C# で記載されています。 1.2. マルチマルチクレームとは  特許法施行規則及び実用新案法施行規則の一部を改正する省令(令和4年2月25日経済産業省令10号)が公布され、令和4年4月1日に施行されます。その改正部分を以下に記載します。 特許法施行規則第24条の3第5項[新設]  他の二以上の請求項の記載を択一的に引用して請求項を記載するときは、引用する請求項は、他の二以上の請求項の記載を択一的に引用してはならない。 実用新案法施行規則第24条の3第5項[新設]  他の二以上の請求項の記載を択一的に引用して請求項を記載するときは、引用する請求項は、他の二以上の請求項の記載を択一的に引用してはならない。 これにより、マルチマルチクレームは拒絶理由に該当するものとなります。  マルチマルチクレームとは、例えば以下の請求項4のようなものをいいます。 【書類名】特許請求の範囲 【請求項1】特定構造のボールベアリング。 【請求項2】内輪がステンレス鋼である請求項1記載のボールベアリング。 【請求項3】外輪がステンレス鋼である請求項1又は2記載のボールベアリング。 【請求項4】外輪の外側に環状緩衝体を設けた請求項1から請求項3のいずれか1項に記載のボールベアリング。 【請求項5】前記環状緩衝体はゴムである請求項4記載のボールベアリング。  請求項2は、請求項1または2の記載を択一的に引用するマルチクレームです。  請求項4は、このマルチクレームを引用すると共に、請求項1から3の何れかの記載を択一的に引用するマルチクレームであり、マルチマルチクレームと呼ばれます。    なお、マルチマルチクレームが認められない国とその根拠条文は以下です。 国名 条文       日本 特許法施行規則第24条の3第5項 米国 特許法112条, MPEP608.01(n) 中国 特許細則規則23(2) 韓国 施行令第5条第6号 台湾 施行規則第18条第5項 ロシア 行政規則10.8.1 フィリピン 発明に関する規則415(c) (PCT) PCT規則6.4(a)  マルチマルチクレームが認められる国・地域は、EP、インド、カナダ、ブラジル、オーストラリア、タイ、シンガポール、インドネシア、マレーシア、ベトナム、カンボジア、ミャンマー、ラオス、南アメリカなどです。 1.3. マルチマルチ警告アドインの特徴 ・Word文書に記載された請求の範囲・特許請求の範囲・実用新案請求の範囲を直接にチェックします。なお、特許庁から配布されているマルチマルチチェッカーの動作を参考とさせていただきました。ここに感謝の意を表します。 2 使い方 2.1. 取り扱い種別  マルチマルチ警告アドインは、フリーソフトウエアです。  本ツールは現状有姿のままご提供します。本ツールにより発生した如何なる損害についても、作者は一切責任を負わないものとします。 2.2. 動作環境  Windows10(64bit)+Word365(32bit)と、Windows10(64bit)+Word365(64bit)で動作確認しています。 2.3. インストール方法 (1)MultiMultiWarning1007.zip を所望のパスに解凍してください。 (2)電子証明書 k-ayaki.cer をシステムにインポートします。 (2-1)k-ayaki.cer をダブルクリックして、開くボタンをクリック (2-2)証明書の情報ダイアログが開くと、証明書のインストールボタンをクリック (2-3)証明書のインポートウィザードが開くと、次へボタンをクリック (2-4)証明書ストアダイアグにて、「証明書をすべて次のストアに配置する」を選択して、参照ボタンをクリック (2-5)証明書ストアの選択ダイアログにて、「信頼されたルート証明機関」を選択してOKボタンをクリック (2-6)証明書ストアに「信頼されたルート証明機関」が設定されたならば次へボタンをクリック。 (2-7)証明書のインポートウィザードにて、次へボタンをクリック (2-8)セキュリティ警告にて、はいボタンをクリック (2-9)正しくインポートされましたと表示されると、証明書のインポートは終了です。 (3)setup.exe を実行してインストールします。 (3-1)保護画面が表示されると、詳細情報をクリック (3-2)実行ボタンをクリック (3-3)「正常にインストールされました」表示が出たならば、インストールは終了です。 3. マルチマルチ警告アドインの説明 3.1. リボン  Wordを起動すると AppLintリボンが追加されています。 マルチマルチ警告ボタン、クリアボタン、バージョン情報ボタンの3つが操作可能です。 3.2. 「マルチマルチ警告」ボタン  「マルチマルチ警告」ボタンをクリックすると。マルチマルチクレームとその参照に対してコメントが付与されて警告されます。  更に、水色のマーカーと黄色マーカーで、クレーム本文が示されます。 3.3. クリアボタン  「クリア」ボタンをクリックすると、コメントとマーカーがクリアされます。 3.4. バージョン情報ボタン  バージョン情報ボタンをクリックすると、バージョン情報ダイアログが表示されます。 4. アンインストール方法 Wordを終了させた状態で、コントロールパネルの「プログラムのアンインストール」を選択し、マルチマルチ警告アドインを削除してください。 5. マルチマルチクレーム制限に関する審査基準改訂案によるテスト  以下の審査基準改訂案に記載されているマルチマルチクレームの類型について検討します。 5.1. 類型 【書類名】特許請求の範囲 【請求項1】特定構造のボールベアリング。 【請求項2】内輪がステンレス鋼である請求項1記載のボールベアリング。 【請求項3】外輪がステンレス鋼である請求項1又は2記載のボールベアリング。 【請求項4】外輪の外側に環状緩衝体を設けた請求項1から請求項3のいずれか1項に記載のボールベアリング。 【請求項5】前記環状緩衝体はゴムである請求項4記載のボールベアリング。 審査基準改訂案より 択一的な多数項引用形式請求項である請求項4は、他の択一的な多数項引用形式請求項である請求項3を引用しているため、特許法施行規則第24条の3第5号違反となる。請求項5は、同条第5号違反とはならないものの、同条第5号に違反する請求項4を引用する請求項であるので、審査官は、請求項4及び請求項5については、第36条第6項第4号及び特許法施行規則第24条の3第5号以外の要件についての審査対象としない。  マルチマルチ警告アドインは、請求項4及び請求項5について警告を表示しています。 5.2. カテゴリが異なる引用の類型 【書類名】特許請求の範囲 【請求項1】特定構造のボールベアリング。 【請求項2】内輪がステンレス鋼である請求項1記載のボールベアリング。 【請求項3】外輪がステンレス鋼である請求項1又は2記載のボールベアリング。 【請求項4】 請求項1~3のいずれか1項に記載のボールベアリングを製造する方法。 審査基準改訂案より 請求項3に係る発明と請求項4に係る発明は発明のカテゴリーが異なるものの、択一的な多数項引用形式請求項である請求項4は、他の択一的な多数項引用形式請求項である請求項3を引用しているため、特許法施行規則第24条の3第5号違反となる。審査官は、請求項4については、第36条第6項第4号及び特許法施行規則第24条の3第5号以外の要件についての審査対象としない。  マルチマルチ警告アドインは、カテゴリが異なる請求項4について警告を表示しています。 5.3. 複数個所で引用する類型 【書類名】特許請求の範囲 【請求項1】特定構造のネジ山を有するボルト。 【請求項2】アルミニウム合金からなる請求項1記載のボルト。 【請求項3】さらにフランジ部を有する請求項1又は2記載のボルト。 【請求項4】特定構造のネジ溝を有するナット。 【請求項5】アルミニウム合金からなる請求項4記載のナット。 【請求項6】さらにフランジ部を有する請求項4又は5記載のナット。 【請求項7】 請求項1から請求項3のいずれか1項に記載のボルト、及び、請求項4から請求項6のいずれか1項に記載のナットからなる締結装置。 審査基準改訂案より 択一的な多数項引用形式請求項である請求項7は、他の択一的な多数項引用形式請求項である請求項3及び6を引用しているため、特許法施行規則第24条の3第5号違反となる。審査官は、請求項7については、第36条第6項第4号及び特許法施行規則第24条の3第5号以外の要件についての審査対象としない。 なお、上記例9において、請求項7が、請求項3及び6のみを引用する場合は、請求項7は択一的な多数項引用形式請求項に該当しないため特許法施行規則第24条の3第5号違反とならない。  マルチマルチ警告アドインは、マルチマルチクレームの請求項7について警告を表示しています。 5.4. 複数個所で引用する類型  複数の請求項を引用しても、択一的に引用していなければマルチクレームには該当しません。 【書類名】特許請求の範囲 【請求項1】特定構造のネジ山を有するボルト。 【請求項2】アルミニウム合金からなる請求項1記載のボルト。 【請求項3】さらにフランジ部を有する請求項1又は2記載のボルト。 【請求項4】特定構造のネジ溝を有するナット。 【請求項5】アルミニウム合金からなる請求項4記載のナット。 【請求項6】さらにフランジ部を有する請求項4又は5記載のナット。 【請求項7】請求項1に記載のボルト、及び、請求項4に記載のナットからなる締結装置。  この場合、マルチマルチ警告アドインは、全ての請求項について警告を表示しません。

Viewing all articles
Browse latest Browse all 9749

Trending Articles